Yasuko Kumazawa Architect Office
 8.5坪の敷地に建つ築20年の鉄骨3階建て住居を、外回りは既存のまま、内部の間仕切り・階段などを全て取り払い全面改修した住宅です。
 建ぺい率・斜線制限によって決まった最大ボリュームを使いきった既存の骨格の中で、階段や必要な部屋を配置してゆくと、それらは自ずとほぼ以前の建物と同じポジションに収まってゆきました。しかし、階段の寸法、間仕切りや出入り口の位置、室のプロポーションを最適に整えることで、暮らしの快適さがガラリと変わることを実感した仕事でした。既存の外部サッシ窓は不要なものは壁を作って消したり、大きすぎる窓は内部に枠を新たに作り、開口部の大きさを絞って内部空間の質を高めました。全てのサッシ窓の内側に新たに木製建具を建て込むことで、アルミの無機質感を消して部屋の雰囲気が損なわれないようにしました。
 造作家具、造作建具、素材が一体となって、体にフィットする衣服のような心地よさのある家に生まれ変わったと思います。
所在地:東京都
家族構成:夫婦+子供1人
構造規模:S造3階建
敷地面積:28.35㎡(8.55坪)
延床面積:65.735㎡ (19.28坪)
用途地域:近隣商業地域
防火地域
建ぺい率/容積率:80/400
施工会社名:宮嶋工務店
植栽:風 (ふわり) 楠 耕慈
写真:西川 公朗

  • 本郷の家(改修)-1

    2階リビングの一角。建具枠と一体的にデザインされたニッチ状のカウンターを作ることで、視覚的に重心を下げ、ソファーに座った時の目線に配慮した。

  • 本郷の家(改修)-2

    ダイニングスペースを見る。キッチンから続く吊り戸棚が場に統一感を与えている。南道路に面する開口部は内側の木製ガラス戸を上下で分割し、道路側建物からの目線を遮りながら、換気できるようにしている。

  • 本郷の家(改修)-3

    ダイニングと家具で仕切られたキッチンが奥に見える。左は上階への、左奥には下階への階段がある。

  • 本郷の家(改修)-4

    造作による飛行機のコックピットのようなコンパクトキッチン。

  • 本郷の家(改修)-5

    3階へ続く階段室。構造の梁の厚みを利用して飾り棚を設置している。

  • 本郷の家(改修)-6

    3階寝室兼書斎。冬場のサッシからの冷気に配慮して障子を建て込んでいる。

  • 本郷の家(改修)-7

    1階玄関ホール。奥が子供室、右が水回りにつながる。自転車収納のため、土間スペースを大きくとっている。

  • 本郷の家(改修)-8

    1階水回り。洗面カウンター前のサッシには木製の上げ下げ窓を、浴室のサッシには施錠しながら通気することのできるルーバー建具を設けている。

  • 本郷の家(改修)-9

    道路から玄関扉を見る。扉左の格子部分は換気のできる木製窓を内側に造作した。

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