Yasuko Kumazawa Architect Office

ピーター・ドイグ展

20.10/06 [ 日々 ]

久しぶりに美術館に足を運び、ピーター・ドイグ展を見ました。
ピーター・ドイグは1959年生の現代アートの時代を生き続けている画家です。
現代アートといえば、思想や主張を作品に落とし込んだ、抽象的で難解な作品ばかりを思い浮かべますが、ドイグは徹底的に具象での表現を試みており、そこに新鮮な感覚を覚えました。
子供の頃の美術の時間に描いたような懐かしさも感じさせる具象絵画なのですが、そこに空想が入り込み不思議な空気を纏います。
時間、空間や遠近感に対して、普段、同時に感じている人間の感覚を分解して、3分割の画面や、鏡像で表現しています。
その絵には人間や物事の多様性が抽出され、同時にそれに対する鑑賞者の見方が問われているのを感じ、やはり、紛れもなく現代絵画なのです。
具象で現代絵画を描くというチャレンジ。こんなことができるんだー!と嬉しくなりました。
それはきっと絵を描くのが大好きな画家であるがゆえにたどり着いた領域。


物事が行き詰まったように感じた時は、遠くを見るのではなく、自分の足元を見て、自分の出来ること、自分が信じるものに取り組むことが大切なんだと教えてくれているようでした。

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